事業を行っていると、契約書を締結することが多くあると思います。基本は決まった形の契約書があるかと思いますが、いつもと違う取引形態であったり、取引先からの申し出で契約書を作り直すこともあるかと思います。今回は、そういった時のための契約書作成のポイントについて解説していきたいと思います。
目次
契約書は自社か相手先か、どちらが作るか
実際に商談等が盛り上がり、いざ契約となったときに、基本は販売側が契約書を出して、それを買い手側がリーガルチェックをして契約締結、というのが基本的な流れだと思います。
但し、業務委託や、通常の取引とは違う契約形態の場合は、どちらも契約書を持っていないことも多々あります。そういった場合におすすめなのは、自社で契約書を作成することです。
契約書は、その後の取引の条件や、解約や訴訟等、何かあったときの対応が書かれていますが、自社で作成することによって、自社に有利な条件を紛れ込ませることが可能になる可能性が高いです。もちろん相手方でも契約書チェックは行うでしょうが、チェックが漏れる場合や、感度が高くない場合は、自社に有利な条件で契約を締結するチャンスが広がります。そのため、契約書がどちらにもない場合、自社で作成する方が有利になることが多く、おすすめの対応になります。
契約書作成のポイント
それでは、契約書を実際に作成するにあたってどのようなポイントを意識すべきかを以下にご紹介していきたいと思います。
目的に合った内容になっているか
まず一番重要なのが、契約書が目的に合った内容になっているかということです。よくあることなのですが、契約書を使いまわしているために全然関係のない条項が残っていたり、そのために何を目的とした契約なのかがわからなくなったり、といったことが発生します。そのため、まずは契約書の目的(売買なのか、業務委託なのか等)を確認し、その目的に合った内容になっているかを意識して作成するようにしましょう。
必要事項は網羅されているか
契約書に書くべき、必要な事項として主に以下の10個があります。
タイトル、契約条項(経済条件)、契約期間、契約解除事由、損害賠償、反社会的勢力の排除、譲渡禁止条項、合意管轄、協議事項、日付と署名
こちらが最低限契約書に組み込む内容になります。契約の経済条件や、期間はもちろんのこと、解除の場合はどうなるのか、何かあったときの損害賠償はどういった扱いになるのか、そして、訴訟になった場合の裁判所はどこになるのか、といったことを書いていく感じなります。
また、反社会的勢力の排除に関しては、会社の姿勢を示すためにも必ず入れるようにしてください。
主語がしっかり記載されているか
日本語で会話をするときに、意識しないと主語が抜けてしまうことが多くあります。但し契約書では、主語がないと、誰が何をするのかが明確になりません。そのため、全ての文章に誰が主語なのかをわかるようにする必要があります。但し、毎回契約書の中で会社名を書くのは大変なので、最初の部分で、会社Aを甲と呼び、会社Bを乙とする、のように定義するのです。
わかりやすい内容になっているか
契約書は法律用語が満載であり、慣れていないととても読みにくいものです。また、各条項が違う条項を参照したり、別の契約書を参照したりと、行ったり来たりすることも少なくありません。
そのため、契約書作成時にはまず全体の構成を決め何をどの順番に書いていくかを決めて、文章の流れを意識し、わかりやすさを担保していくことが大切です。
トラブルを想定した内容になっているか
親密な取引先だとしても、トラブルが発生しないとは限りません。万が一ではありますが、その万が一に備えるためにトラブルを想定した内容にしておくことが重要です。主なトラブルとしては、契約の途中解約や秘密保持違反での損害賠償等が想定されますが、そういったトラブルに対応するために、契約の解除や損害賠償条項等を確実に入れておく必要があります。
特に契約の解除に関しては、一番起こりやすいケースですので、ここを自社に有利なように(売り手であれば、出来るだけ解約出来ないように、買い手であれば出来るだけ解約し易いように)規定することがおすすめです。
法律で決まっている記載事項対応ができているか
例えば、不動産業や建設業等では、通常の契約書に加えて追加で記入が必要な事項があります。業界特有のものが多くありますので、もし自社の担当領域外の場合は、自社で作ろうとはせず、専門でやっている会社に作成を任せるのも手段の一つです。
まとめ
契約書は作成した方が有利です。そして、基本的な決算書はポイントを気を付けておけば、難しいことはありません。また、インターネット等でひな形もいくらでもダウンロード出来ますので、契約書作成をどちらがやるのか、となったときは、ぜひ自社での作成を検討してみて下さい。