自社を取り巻く外部環境を分析する方法

財務事業計画会社組織マーケティング

事業計画書を作成するときや、マーケティング戦略を考えるとき等に、自社を取り巻く外部環境を分析する必要があるときがあります。今回はその際に使える手法について、代表的なものを紹介していきます。

自社の外部環境を分析する理由

事業を行っていて、自社が今どういった立ち位置にいるかを知ることは、自社が金融機関等からどのように見られているかを知る上で非常に重要です。金融機関は、いろんな取引先がいて、自社と同じ業種の取引先もそれこそ山のようにあります。そのため、自分ではそこそこ儲かっていると思っていても、その業界の他社に比べるとそこまででもなかったりする場合もあり、極端なケースとしては、自分が思う自分と、他人からみた自分のギャップが大きくなり、想像以上に融資が受けられなくなる可能性もあります。

また、自社の売上を上げるために新たなマーケティングを行おうという時も、自社がどのような状況にあるのか、どのように見られているのかを知らない状態では、適切な手法は選択できません。そのため、自社を取り巻く環境を分析することは、非常に重要なのです。

外部環境分析の主な手法

以下に外部環境分析の主な手法をご紹介していきたいと思います。

PEST分析

PEST分析とは、Politics(政治)、Economics(経済)、Society(社会)、Technology(技術)といった4つの視点から、自社が属する業界に与える影響を推定し、今後の動向を分析する手法です。

Politics(政治)

政権交代や、法律・税制の変更、規制緩和等が含まれます。例えば最近の例でいくと、住宅の購入と住宅ローンを使った減税に対し、課税されるという裁判の判決が出ましたが、この影響としては、富裕層へ減税指南をしていた税理士が仕事を失ったり、ローンを貸していた銀行、不動産を販売していた不動産業者もこの手法が使えなくなり、需要が少なくなる、といったことが予想できます。

Economics(経済)

これは、国内の景気や、為替、株価等のことを指します。例えば、最近急激に円安が進んでいますが、この影響で海外から小麦を輸入する企業は、日本円にすると高い価格でモノを買わなければならなくなり、日本での販売価格はそれに伴って上昇します。そうなると、パン等の小麦を使う製品の価格が上がりますので、消費者は買い控えを起こす可能性があります。反対に、日本国内で作られるコメの価格は変わらないので、コメはパンの消費が下がる影響で上がる可能性があります。こういったように、経済が動くことで、自社が属する業界にどういった影響があるかを考えるのが、この項目です。

Society(社会)

これは、人口動態、文化、教育、ライフスタイル等です。上のパンとコメの例でいくと、戦前はコメを食べていた日本人が、戦後アメリカからもたらされた食文化の影響で、コメではなくパンを食べるようになり、今ではコメとパンの家計の消費額が逆転したように、ライフスタイルの変化によって、自社を取り巻く環境がどのように変わるのかといったことを考えるのがこの項目です。

Technology(技術)

これは、技術革新のことです。ケータイやインターネットが世の中を大きく変えたように、技術革新で世界は大きく変わります。これからであれば、AI等の普及が自社にどういった影響を与えるか等について考えるのがこの項目です。

以上の4点を分析し、自社の属する業界にとってプラスなのかマイナスなのかを判断し、総合的にどうなっていくのかを分析するのがPEST分析です。

5Forces分析

5Forces分析は、業界を詳しく分析するのに使う手法です。以下が5Forces分析の概念図になります。

5Forcesの概念図

これは、自社の業界を取り巻く4つの要因(新規参入の脅威、代替品の脅威、ようきゅ業者の交渉力、買い手の交渉力)と、自社の属する業界内の状況(同業他社との競争)を分解して考えることで、自社の業界環境を分析します。例えば、自動車産業であれば、今までは自社の業界を取り巻く4つの要因に関して、真ん中になる自動車会社(トヨタ、とかVW等)が強力な力を持っており、同業他社との競争だけを意識していれば問題なかったのですが、今では、ソニーやアップルが自動車を作り始め、代替品としては空飛ぶ自動車や、同じ自動車でもテスラのような電気自動車が幅を利かせてきており、競争環境は大きく変化してきています。このように、自社を取り巻く環境と自社の属する業界内の状況を分析することで、どこに注力すべきなのか、といったことが見えてきます。

まとめ

今回は、自社を取り巻く環境を分析する手法についてご説明しました。決まったフレームワークがあり、何度か使ってみることで使い慣れてくると思います。次回は、自社の内部環境を分析する手法についてご紹介していきたいと思います。

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